ヨッピーのブログ

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「水着でも男女混浴不可?」の東京都の条例についてあれこれ調べたら面白いことになってきた。

ハロー!ヨッピーお兄さんだよ!

以前に「新中野にサウナ付きコワーキングスペース作りたいんやけど!」みたいな記事を書いたのですが、それの続報です!

yoppymodel.hatenablog.com

 

↑該当の記事

 

いやね、考えてる施設って、

コワーキングスペース
・サウナ
・漫画喫茶

が一緒くたになったような施設でして、

 


この、RAKUSPAみたいに小あがりつくってヨギボー置いてデカいテレビとゲーム機を置きつつ壁面には漫画を並べてね。

もちろんコワーキングスペースとしてZoomが出来る個室ブースも作ってワーキングスペースも作ってね。

 


そんで屋上からの眺めがコレだからね。
屋上にはこだわったサウナとキンキンに冷えた水風呂をデデンと設置しつつ、
ちょっとした筋トレが出来るような道具もドカンと置いてさあ。そんで「月額15,000円で使い放題!」とかやったらじゃんって思いましてね。

なんていうか、「みんなの居場所になればいいな」って思ってるんですよ。

フリーランスがずっとひとりで仕事してて病んじゃうとかさ、
家で仕事してると煙たがられるとかさ、
会社にしか居場所がないとかさ、
家にいるとどうしても子どもが気になって集中出来ないとかさ、

そういう諸々の人たちの第三の居場所として機能するような場所にして、そこで集まった人たちと一緒に仕事したり遊んだりできたら最高じゃんって思ってるんです。


なので現在「よっしゃー!作るぞ~~!」って息巻いてるんですけども、実際に事業にするとなるとやっぱ関係各所に確認取る必要があるわけでして、建築も消防も、あとはサウナがあるので保健所にも確認取るじゃないですか。「こういう事業やりたいんやけど~」って。

そしたら引っかかってくるのが「7歳以上の男女は混浴禁止!」っていう条例でして。


この施設をやるとしたら屋上のサウナは水着着用の上で男女一緒に使えるようにしたいなと思ってるんですよ。男女をパキッと分けると単純にサウナも水風呂もふたつ作らなきゃいけなくなるし、動線も全部男女別にする必要があるんですよね。

そうなるとサウナを作る費用が倍じゃ済まなくなるのに、コワーキングスペースという事業形態ってやっぱ利用者は男性が圧倒的に多いんですよ。サウナもそう。なので女性向けにそういうスペースを作るとなるとちょっとコストが合わなくなるんです。
かと言って男性専用にするのも信条として嫌だなぁっていう気持ちもある。


それに水着を着て男女一緒に入れるサウナって23区内のあちこちにあるんですよ。なのに中野区に「アカンの?」って聞いてみたら「水着着てても男女一緒に入ったらアカン!」という回答でして。

「なんで中野区はアカンのや?実際そういう施設、23区内にあるのに!」と思ってあっちこっちの保健所に電話して色々調べてみたら面白い感じになってきた、というのが今日の本題です。

結論から言うとこの「7歳以上の男女の混浴禁止」っていう「混浴」の定義が区によってどうも違うんですよ。そのせいで「オッケー!」っていう区と「ダメ!」っていう区に分かれるようです。ちなみに23区全部に電話したわけじゃないんですが、電話した中だと中野区、渋谷区、練馬区はNGで、港区、墨田区はOKって感じでした。

 

ちょっとここから法律とか条例とかややこしい話になりますので頑張ってついてきてね!

前提として、平成24年以降に公衆浴場の管轄が東京都から23区それぞれに移譲され、23区それぞれが独立した条例を持っています。

「水着を着てても混浴NG」の中野区の条例はこれ。

【中野区】

中野区公衆浴場法施行条例

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/reiki/reiki_honbun/q600RG00001959.html

混浴にまつわる部分を抜き出すとこのふたつ。

(14) おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと。
(18) 脱衣室及び浴室は、それぞれ男女を区別し、その境界には障壁を設ける等相互に、かつ、浴場外から見通せない構造とすること


逆に、「水着を着てれば混浴OK※」の港区の条例はこれ。

※もちろんなんでもかんでもOKというわけではないよ

【港区】

港区 港区公衆浴場法施行条例
https://www.city.minato.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/g104RG00002114.html

 

混浴にまつわる部分を抜き出すとこのふたつ。


十四 七歳以上の男女を混浴させないこと。
十八 脱衣室及び浴室は、それぞれ男女を区別し、その境界には障壁を設ける等相互に、かつ、浴場外から見通せない構造とすること


中野区、港区共に同じ文言で構成されております。何故こうなるかと言うと、各区が平成24年から施行している条例は、昭和39年に出来た東京都の公衆浴場に関する条例を踏襲しているからです。

その大元となる東京都の条例にもやはり、

十一 七歳以上の男女を混浴させないこと。
十五 脱衣室及び浴室は、それぞれ男女を区別し、その境界には障壁を設ける等相互に、かつ、浴場外から見通せない構造とすること。

と、これまた同じ文言が並んでおります。

公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例

https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000879.html



つまり、中野区も港区も同じ条例を踏襲して同じ条例を作っているのに、中野区はNGで港区はOKっていう判断になっている変な状況にあります。

何故そうなるかと言うと、先ほども書いた通り「混浴」の定義が中野区と港区で異なるからなんですよね。

港区に聞いたところ、港区の場合は、

・男女が裸身等で同一浴同時に利用する場合
・かつ風紀を乱すおそれのある場合

を指して「混浴」と定義しているとのことです。
つまり、裸身等ではなく、よからぬ事が出来ないような仕組みになっていれば「混浴」にはあたらない、という解釈です。

この解釈がどこから出て来たかと言いますと、実は平成4年に東京都から「公衆浴場についてはこんな風に運用してね~」っていう通知が出てるんですよね。


平成4年1月31日 三衛生指409号


この赤線の部分。
この通知によると「混浴」とは、

・男女が裸身等で同一浴室を同時に利用する場合で、
・かつ風紀を乱すおそれがある場合

を指して「混浴」と定義しています。
逆に言えば、

・裸身等で同一浴室を同時に利用せず、
・もしくは風紀を乱すおそれがなければ

混浴にはあたらない」と解釈出来ます。
港区の「混浴」の定義はこれにのっとっているわけです。

恐らく、これは想像なんですけど、条例の「男女の混浴禁止」っていう部分、普通に考えれば「公衆浴場に関する条例」なので、銭湯とかスーパー銭湯とかああいうのを想定して作られた条文で、家族風呂とか貸切風呂とかそういう小さいお風呂を想定して作ったわけではないと思いますし、水着着用での利用も想定してなかったんじゃないかと思うんですね。恐らくは風俗的な営業を弾くために規定したんじゃないかと。

でも実際に運用してみると「家族風呂はあかんのか」とか「水着でもあかんのか」とか色々細かい疑問が出て来たので、改めて混浴について定義した、みたいな背景があるんじゃないかと思ってます。

 

しかしながらこの通知、改正されて最新版は令和3年7月13日の日付なんですが、前述の通り平成24年以降は公衆浴場の管轄が23区それぞれに移行されていますので、現在の23区それぞれの運用についてはこの通知は管轄外だし無関係、とも言えるわけです。


だから、中野区の解釈だと「いやこの通知は中野区には関係ないよね」「関係無いから混浴の定義についてこれに従う必要もないよね」っていうスタンスになるわけなんですけど、「港区と中野区、全く同じ文言の条例があるのに、解釈によって運用が違うのは変じゃない?」って思うのはまあ当然じゃないですか。


そして時系列で並べると、

・昭和39年東京都が「公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例」を制定する

・平成4年に東京都が「混浴」の定義について通知を出す。

平成24年に東京都から23区それぞれに公衆浴場の管轄が移行。それに従い、各区が大本の昭和39年に施行された東京都の条例を下書きにした条例を制定する

っていう流れなので、「東京都の条例を踏襲して今の条例が出来ている以上、特段の取り決めが無い限り『混浴』の定義についても東京都の定義を踏襲するのが自然ではないか」と思うわけです。

更にもうひとつ。



これは中野区の公衆浴場の、混浴関係ない部分のガイドラインなのですが、赤線と赤丸の部分を見る限り、やはり東京都の通知、指導基準を参照しながら運用している事が見てとれるわけです。


この辺の部分は都の通知に準拠して運用してるのに、混浴の所だけ(別に規定を新たに作ったわけでもないのに)「通知には従わない」っていうのも変ですよね。


そもそも、プールは水着で男女一緒に入ってOKなのにサウナはダメって良くわかりません。水着ならサウナどころか街中ウロウロしてても電車に乗ってもマナーや景観の問題はあるにせよ別に捕まらないし禁止する条例も無いじゃわけないですか。

この、東京都の「男女混浴禁止!」っていう問題はサウナ以外にもけっこうデカくて、これがあるおかげで東京23区の入浴施設だと家族風呂や貸切風呂がなかったりするんですよね。

 まあアレコレ書きましたけど、事業としてやるからにはその辺の問題を綺麗にクリアしてから進めたいなっていう気持ちもあるので「なんとかしたいな~」と思ってるんですが、「なんでダメなの?」っていう疑問をきっかけに、「じゃあ、あの施設はどういう解釈で許可されてるの?」「なんであっちは良くてこっちはダメなの?」「何を根拠にそうなってるの?」って関係各所あちこちに連絡して質問しまくって徐々に根幹に近づいていき、「あ、『混浴』の定義が区によって違うからこうなってるのか……!そしてその定義の根拠がこれか……!」っていうのにたどり着いた時はなんかもうめっちゃ楽しかったです。最初は「とにかくダメなものはダメです」って感じでしたからね。

「条例で混浴が禁止されている以上、新しく条例を作らない限り難しいです」みたいな事も最初言われていて「条例を作るのは流石にハードルが高いな。これは無理かも」って思ってたんですけど、あれこれ調べてくと結局は解釈の違いであり運用の違いでしか無さそうなので「これ、ひょっとしてなんとかなるのでは……?」っていう予感がちょっとあります。


とりあえずこの、「東京都の条例を踏襲して現在の条例が出来ている以上、定義についても東京都のものを踏襲すると考えるのが自然では?」という理屈であちこち押してみようと思っているのですが、それが通れば東京23区全部の解釈がひっくり返るかもしれませんね。お役所は割と右へならえ主義ですし。

もし僕と同じくこの「男女混浴禁止!」の条例に悩まされている事業者さんにおかれましては、この理屈で管轄の保健所に問い合わせてみると突破口が見えてくるかもしれません。


そうすれば今後東京23区に家族風呂や貸切風呂が増えるかもしれないし、サウナのイベントだってやりやすくなるし、ラクーアに男女共用のサウナゾーンが出来るかもしれない。なので本当に実現したら僕に焼肉でも奢ってください。資料が欲しいとかもう少し詳しく教えて欲しいとかありましたら僕のTwitterのDMなんかに連絡頂ければと思います。

現場からは以上です。
最近ぜんぜんライターの仕事してない。

【追記】

本筋とはあんまり関係ないんだけど、「そもそも男だらけのサウナに、水着着て入りたい女がそんなにいるか?」みたいなコメントがちょろちょろ来ておりましてですね。

僕の考えで言うと「入る/入らないの選択肢がちゃんとあることが大事」だと思っているよ。「入れるけど入らない」のと、「入りたくても入れない」っていうのは全然違うのである。

 

その上で当然そういうケースについてもあれこれ想定しているのですが、今のところの考えについてわーっと書きますね。

 

〇水着について

「水着」と聞いてビキニみたいなのを着て入るのを想像している人が多いのかもしれませんが、サウナイベントだと短パン+ブラトップみたいな露出の少ない水着で入ってる女性もたくさんいます。


〇そもそも会員制

コワーキングスペースの会員はサウナも使い放題」というたてつけなのでそもそも入る人は会員に限られる上、その募集かけるであろう会員数もそれほど多くないです。
なので実際に運用をはじめると、屋上のサウナって実はそんなに稼働しないんじゃないかと思っております。「男だらけのところに女性が混じる」というより、ちょろちょろ使ってる人がいる、くらいのゆったりした運用になるんじゃないかなぁっていう。なるべく混まないようにしたい。

そして、会員制なのでマナーについては相当徹底して周知するつもりです。参考にしているのは会員制・月額制の六本木オールドルーキーサウナですが、あそこはかなり徹底されているので使っている人達のマナーがめちゃくちゃ良いです。あそこを参考にしつつクレームが入ったり目に余る人はとっとと退会処分にすることで秩序は守られるんじゃないかと。

更に屋上サウナ部分は監視カメラで常時監視する体制もとります。

 

〇時間で分けるパターン

これは実際の会員女性からどういう声があがってくるかによって考えようと思っているのですが、「やっぱ男がいるのは嫌だ」という声が多いのであれば、女性に限って40分とか事前に予約して貸切利用できるよ、みたいな体制を作っても良いかなと思ってます。

 

〇サウナを増やすパターン

そして、軌道に乗ったらもともとサウナを二つ作ろうと思っております。最初に作るのは割と一般的なサウナのつもりですが、もう一つ作るのであれば完全にソロで入れる、薄暗い瞑想向けのサウナを作ろうと思っております。

その二つ目のサウナこそ事前に予約しても良いシステムにして、女性がひとりで入りたいならそっちのサウナで入れるような体制にすればバッチリかな、っていう。


「サウナふたつ作るのなら最初から男女分ければいいじゃん」って考えもあるんですが、片方のサウナが全然稼働しないのに電源入れるのもったいないですし、男女分けるとなると動線を全部分けなきゃいけなくなるのでそっちの方がお金かかるし大変、っていう感じです。サウナ室自体は小さいやつなら200万円あれば余裕で作れますからね。

以上、余談だけど!