ヨッピーのブログ

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〇〇は嫌いだけど、とかイチイチ言わなくていい。

件の騒動の話である。

 

 とある方がリスクを背負い、勇気を振り絞って取った行動に対して「お前の事は嫌いだけど、お前がやろうとしている事は支持する」なんて公言することで本当に支持したつもりになっているのであれば認識を改めるべきだと思う。ボクシングのリングにあがろうとするボクサーが、「お前は嫌いだけど、対戦相手はもっと嫌いだからぶっ殺して来い!応援してるぞ!」って言われてやる気になるわけがないし、ボクサーだってそれを「応援」とは捉えないだろう。ましてやお金を払って入場した観客ならともかく何のリスクも負ってない、面識もない傍観者の人々から吐きかけられた言葉だ。



別に「被害者だから全て無罪」という事を言いたいわけではない。反論する機会、違うと思ったことを批判する権利は誰が相手であろうと保たれるべきだからだ。しかしながらタイミングが違うんじゃないですか、と思うわけです。今回の件で彼女が目立ち、彼女が視界に入ってきたからトラウマというか、文句のひとつも言ってみたくなる気持ちになることはわかる。まあわかるけど、それによって「お前の事は嫌いだけど」「お前の発言こそどうなんだ?」「自分の事を棚にあげて、よく他人の批判が出来るな」みたいな矢がバッスバス飛んでた。


一番先頭を走ってた彼女に矢が刺さってハリネズミみたいな姿になっているのを見て、誰が後に続くんだって思うわけです。流れが違うとは言え、椎木里香さんも町田彩夏さんも結局ハリネズミにみたいになってるわけで。口火を切った人達のリプ欄見たら本当に地獄みたいな事になってる。


今回の件みたいに、業務上の権力者が目下のものに対して日常的かつ執拗に行った逃れづらいハラスメントと、ネット上の発言によって不特定多数を傷つけることが同質のものではないことなんてみんな最初からわかっている癖に、「これもセクハラだ!同じだ!」って結局一緒くたにして叩いてる人いっぱいいるじゃないですか。もう一度言っておきますけど、最初からわかってる癖に。これが同じなら「叩いてもいい奴」ってスイッチが入ったらみんなで寄ってたかってボッコボコに叩くこの風潮だって「イジメと同じ」ってことになるよね。「ゲロ以下」だの「屑」だのなんだって好き勝手言ってる人も居るけど、そういう言葉って「批判」ですらないもんね。その言葉はハラスメントに該当しないの?

 

そりゃまあ「お前の事は嫌いだけど、あいつの方がもっと嫌いだから頑張れ」って言ってた人からすると、そうだよね。嫌いだけどもっと嫌いなやつがいるから渋々「お前は嫌いだけど今回の件では我慢してやる」ってぶん殴るの我慢してたのに、嫌いなものを遠慮なく、両方ぶん殴れるならラッキーだよね。でも、そうやって気持ち良くぶん殴ってる人達だって、その論法で言えば「お前に殴る資格あるのか」ってなりかねないよね。「セクハラ野郎!」って怒りながらも、女性に対してブスだの貧乳だのってコメントつけてる人もいたからね。ネット上だとしても、他人にバカだのカスだのボケだの言ってる人はもうハラスメントに対して声を挙げる資格がない事になっちゃうよね。

 

でも、そんな風潮のまんまで本当に困ってる人達が声を挙げられる社会になるんですか、と思うわけです。何か言うと過去の発言をほじくり返されて、「お前のこれはどうなんだ」「お前人のことよく批判できるな」なんて言われるのであれば、結局声を挙げる事は過去に何の失言もしていない、清廉潔白な人にのみ許される行為になっちゃう。それで良いわけないじゃん、って思うわけです。


文句があるなら別にこのタイミングじゃなくてもいいじゃないですか。それでも許せないのであれば「絶対に黙ってろ」と言うつもりはないけど、少なくとも「支持する」と言うのであれば、その「支持する」っていう姿勢を貫いて欲しいし、「〇〇は嫌いだけど」みたいな枕詞つけるくらいなら「支持する」なんて言わなくてもいいと思う。それは良識派ぶりつつ一発ぶん殴っておくっていう、それこそ姑息な手段ではないかな。

 

嫌いだって言われたら誰だって傷つくんだよ。自分が発した「嫌いだけど」という言葉が矢になって飛んで他人に刺さってる事を自覚してないのであれば、結局はみんな等しく無自覚の加害者で、みんなハラスメントに対して声を挙げる資格がないって事になるんじゃないかな。そんなの良くないよね。一番最初に出た記事にだって、そんな「矢」がバッスバス刺さってるのはすぐに見て取れると思うよ。

 

で、一番大事なのってこれ以上の被害者を増やさない事じゃないですか。そしてこれ以上の被害者を増やさないためには「声を挙げやすい社会」にすることが大事なわけじゃないですか。それなのに声を挙げた人の過去の言動を持ち出しての批判大会がはじまるのであれば本当に誰もあとに続けなくなっちゃうんじゃないかなー。

 

 

【気になるコメントに言及】


・そう言う枕詞をつけずには言及したくないくらいに最高に嫌われていて呪われている対象であった、と言うだけの話。
 


そういう枕詞つけずには言及したくないくらいならハナっから言及しない方がいいんじゃないかなーっていう事を言いたいんです。変な枕詞がついてるとモチベーションが削れるし、こういう事案で何より大切なのは告発者のモチベーション。

 

今回の件で荒れているのは過去の発言もそうだけど、セクハラを糾弾した直後に自身のセクハラを正当化したからだと思われます。またセクハラは受け手が悪質かどうか判断するものですので同質でないとするのは無理筋。 

 

本文にも書いたけど、件の発言がある前からバッスバスが矢が飛んでたから見て来るといいです。「受け手が悪質かどうかで判断するもの」って、当然それだけじゃないですよね。客観的な状況、証拠みたいなのを含めて考えずに、今までこういう事案でどうやって裁判してきたのかなーって。

【追記】
はあちゅうさんが童貞発言に対して謝罪文を出しました。
ここからはあくまで僕の1個人としての意見です。

 

過去の「童貞」に関する発言についてのお詫び|はあちゅう|note

 

僕は正直、このエントリの反応を見るまでは、特にこの部分については理解して頂けるものだと思っていました。

>業務上の権力者が目下のものに対して日常的かつ執拗に行った逃れづらいハラスメントと、ネット上の発言によって不特定多数を傷つけることが同質のものではないことなんてみんな最初からわかっている癖に、「これもセクハラだ!同じだ!」って結局一緒くたにして叩いてる人いっぱいいるじゃないですか。もう一度言っておきますけど、最初からわかってる癖に。

「最初からわかってる癖に」と2回も書いてるところにも表れてますけど、本当に僕は「同質じゃないことを理解しつつも、彼女を叩く口実として過去の発言を持ち出してる」としか思えないんですよ。だって、どう考えても同質なものではないじゃないですか。もう一度言いますけど権力持った人の執拗な、逃れづらい日常的なパワハラ及びセクハラと、不特定多数に向けたネット上での発言、なわけで。全然同じじゃないですよね。

「あいつも同じ穴のムジナ」みたいな事言う人は本当にそれを今回の件と同質に並べて良い事柄だと思ってるんですかね。もちろん童貞を茶化すような発言で本当に傷ついてる人が居ることは理解するしそういう風潮が是正されるべきものであることは間違いないわけですが、それでも大多数の人が「嫌いだ」って言いたいがためにその件を持ち出してるように見えるんです。本当にそうじゃないって言いきれますか?


彼女の発言に対して傷ついた人の肩を持ち、「あらゆる人に対するハラスメントをなくしたい」と考えて行動することは大変すばらしい事だと思うのですが、その反撃として口汚く罵るような行動だってハラスメントに該当するんじゃないかって思うんです。「嫌いだ」って言われて傷つく人がいるなら、それもちゃんと避けて通るようにした方が良い世の中になるんじゃないかなぁ。「この言説は支持しないけど、こっちは支持する」っていうのと、「お前が嫌いだけど、支持する」っていうのは受け止める方のニュアンスが全然違うじゃないですか。そこが無自覚であって良いわけがないと思うんです。少なくとも僕は「お前のことは嫌いだけど」って言われ方をした方がよっぽど悲しいですよ。